「iDeCo」と「つみたてNISA」の違いは?どちらを選ぶべき?理由をまとめて紹介
税制上の優遇措置があるなど、将来の資金を安全に蓄える手段として近年注目されているiDeCoとつみたてNISA。
しかし、両者の違いを完璧に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか?
ここでは、両者の特徴から差異、さらには共通する箇所に至るまで比較・紹介していきます。
【この記事で主に紹介すること】
・「iDeCo」と「つみたてNISA」の明らかな違い
・「iDeCo」と「つみたてNISA」をやるべき(やらない)理由
目次
- 1 まずはiDeCoとつみたてNISAの特徴を知ろう
- ・iDeCoとつみたてNISAの共通点は?
- ・iDeCoの大まかな特徴
- ・つみたてNISAの大まかな特徴
- 2 iDeCoとつみたてNISAの違いを比較してみよう
- ・iDeCoとつみたてNISA比較 ①加入条件は?
- ・iDeCoとつみたてNISA比較 ②始められる金額と運用可能期間は?
- ・iDeCoとつみたてNISA比較 ③税制優遇措置はどう違う?
- ・iDeCoとつみたてNISA比較 ④引き出しのタイミングはどう違う?
- 3 iDeCoとつみたてnisaどちらを選べば良いか?
- ・iDeCoを選ぶべきポイントと向いている人の特徴
- ・つみたてNISAを選ぶべきポイントと向いている人の特徴
- 4 まとめ
まずはiDeCoとつみたてNISAの特徴を知ろう
金融機関のポスターやインターネット広告でよく名前を見るけど、どちらも単にお得に資産運用するための制度で、あまり差はないのでは?という程度の認識の方も少なくないかもしれません。
しかし両者はメリットから用途まで大きく差があります。ここではまず、両者の違いや特徴について解説していきましょう。
iDeCoとつみたてNISAの共通点は?
個々の特徴は以降で紹介するとして、まずは両者の共通点から見出してみましょう。
制度自体の共通点として、どちらも「国が個人の資産形成を支援するために設けた制度である」という点が挙げられます。
そして、どちらも税制優遇があるため、資産運用に否定的だったり、及び腰だったりする方でも不安なく参加できるのです。
また、制度内の共通点として挙げられるのは、「損益通算ができない点」になります。
損益通算とは、簡単に言うと「同一年分の利益と損失を相殺すること」です。つまり、両者を運用した結果、損失を出してしまったとしても、特定口座などの課税口座と合わせて計上することができません。
その点が両者の共通点であり、デメリットだと指摘する声もあります。
iDeCoの大まかな特徴
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の別称で、主に老後資金を作るための制度になります。
似た制度として存在する「企業型確定拠出年金」(企業DC)との差異は「目的」と「負担」にあります。
企業DCは基本的に企業の福利厚生として従業員に提供しているものです。よって、運用などにかかる手数料などの負担は全て企業が負担します。
一方、iDeCoは企業ではなく個人で全て対応すべきもの。つまり、自助努力であり全ての負担は個人にかかるという訳です。
また、企業DCは企業に従事する全ての人が対象となる訳ではありません。導入するのはあくまで企業側であり、制度を採用していない企業では、残念ながら参加することができません。
ここでは大まかな特徴のみご紹介しました。
制度の決まりごとや詳細については次章で詳しくまとめるので、そちらをご参照下さい。
つみたてNISAの大まかな特徴
つみたてNISAは、NISA同様、専用の口座を使った資産運用方法のことです。
最長で20年間の非課税期間を使い、年間40万円までの投資可能枠を活用して資産運用します。
大きな特徴はその名の通り「積立投資」のみの手段で資産を構築していくこと。選べる商品は金融機関ごとに多少差異はあるものの、長期の積立・分散投資に適した一定の商品から選んで運用します。
少額から始められる上に、長期間運用できるため、投資ビギナーにとって手を出しやすい制度だと思います。
つみたてNISAと混同しやすい制度として、一般NISAがありますが、その2つの違いについては別の記事で詳しく紹介しています。気になった方は合わせて読んでみましょう。
「一般NISA」と「つみたてNISA」のどっちを選ぶべき?簡潔にまとめてみた
iDeCoとつみたてNISAの違いを比較してみよう
両者の大まかな特徴については理解できたと思います。そこで次は、両者の明確な違いについて比較していきましょう。より細かく個々の特徴を知ることで、どちらの制度が自分に向いているかどうか判断できると思いますよ。
iDeCoとつみたてNISA比較 ①加入条件は?
<加入条件> | |
iDeCo | 20歳以上65歳未満の国民年金被保険者 |
つみたてNISA | 満20歳以上の国内居住者 |
両者の加入条件は上記の通りです。
どちらの制度も、基本的に20歳を超えていれば加入できます。
ちなみに、iDeCoはこれまで国民年金任意加入被保険者の加入を認めていませんでしたが、2022年5月より加入できるようになりました※。
補足すると、国民年金の任意加入とは、基本的に60歳迄に国民年金加入期間480か月を満たさない方が、60歳以降も国民年金保険料を任意に支払うことができる制度のことです。
つまり、iDeCoは加入制約の障壁がなくなり、年金加入者のほとんどが参加できるようになりました。
※参考:iDeCo公式サイト
iDeCoとつみたてNISA比較 ②始められる金額と運用可能期間は?
<始められる金額と運用可能期間> | |
iDeCo | 最低5000円から加入資格に応じた拠出限度額まで1000円単位で設定可 |
つみたてNISA | 毎月3万3333円まで(40万円÷12ヶ月) 20年間運用可能 |
つみたてNISAの運用可能期間は20年で上限金額は1年あたり40万円。つまり、換算すると毎月3万3333円までになります。
そして注目すべきiDeCoの場合です。拠出金額は年金の加入区分によって異なっており、例えば勤める会社に企業年金がない会社員の場合、月額上限は2.3万円となります。はたまた、企業型確定拠出年金(DC)のある会社に勤め、それに加入している会社員の場合は月2万円まで。
さらに、DCと確定給付企業年金(DB)に加入している方、DBのみに加入している方、そして公務員の方は月1.2万円という区分けになっているのです。
つまりiDeCoの場合、表中では最低5,000円からとありますが、立場によって最低金額は異なります。そして拠出限度額もまた然りです。
まずはお勤めの会社に年金制度があるか、はたまたそれに加入しているかどうかの確認をし、自身の加入資格を把握しましょう。
iDeCoとつみたてnisa比較 ③税制優遇措置はどう違う?
<税制優遇措置> | |
iDeCo | 掛金が全額所得控除・利息、運用益が非課税・受取時も一定額優遇 |
つみたてNISA | 運用益のみ非課税 |
もちろんiDeCo、つみたてNISAともに税制面でのメリットがあります。
iDeCoの場合は掛金全てが所得控除され、利息と運用益が非課税となり、さらに受け取り時も一定額税制優遇を受けられるのです。受け取り時の優遇について細かく説明すると、年金受け取りなら公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象となります。
つまり、両制度とも税制優遇はあるものの、つみたてNISAは運用益のみ非課税となる点を覚えておきましょう。
iDeCoとつみたてNISA比較 ⑤引き出しのタイミングはどう違う?
<引き出しのタイミング> | |
iDeCo | 60歳まで引き出し不可 |
つみたてNISA | 自由 |
最後にご紹介する比較事項は「引き出しについて」です。
つみたてNISAは必要な時に必要な分だけ自由に引き出すことができます。なお、引き出し手数料については、使用する証券会社によって様々なので、運用前に個々の利用条件を比較しておくことが必須と言えます。
一方、iDeCoの場合は60歳になるまで引き出すことができません。さらに、受け取り方法は年金か一時金受け取りかのどちらかを選択することになります。
iDeCoとつみたてnisaどちらを選べば良いか?
どちらにも「利益に税金がかからないメリット」があり、運用できる商品についても投資信託がメインという点について共通しています。
そこで最終章では、iDeCoとつみたてNISAでは、どちらがどんな方に向いているのか?について詳しく解説していきます。判断する際の参考になれば幸いです。
iDeCoを選ぶべきポイントと向いている人の特徴
60歳まで投資できるということは、単純に始める時期が早ければ、それだけ貯められる額も大きくなりますよね?
つまり、年齢が若く目標金額を割と高く設定している方なら、迷わずiDeCoを始めるべきだと思います。
なお、同制度は60歳まで引き出すことができません。よって、言わずもがなですが、老後資金を貯める目的で投資を始めたいと考えている方にとっても、つみたてNISAよりもiDeCoの方が断然向いています。
つみたてNISAを選ぶべきポイントと向いている人の特徴
ポイントはやはり「引き出すタイミングが自由」である点でしょう。
つまり、教育資金やマイホーム、マイカー購入の為の資金として利用するのに適しています。
しかしながら、40〜50代の方で、iDeCoに加入していない方にも、つみたてNISAの利用をおすすめします。理由は「貯蓄スピードの早さ」です。
iDeCoの場合、ひと月の上限金額は最高で2.3万円であることに対し、つみたてNISAは3.3万円です。運用する商品にもよりますが、単純に積み立てられる金額が多い方が貯まりやすいのは言わずもがなです。それに加え、老後までのリミットが迫っている方が効率良く老後資金を貯められますよね。
また、貯蓄の効率性を重視するなら、おすすめは「併用」に尽きます。
有事の際の必要資金としてつみたてNISA、将来のための資金としてiDeCoを使うなど、両者を使い分けることで、お金の不安を解消できるケースもあると思います。どちらかを選ぼうと悩んだ際は、併用することも一考してみてはいかがでしょうか?
まとめ
どちらも運用益にかかる税金が非課税となる点で共通していますが、根本的には全く異なる性質を持った制度であることがお分かりいただけたと思います。
どちらの方がどれだけ優れているという確固たる差はありませんので、ニーズに合わせて使い分けることで、より良い効果が見込めるのではないでしょうか。
そもそも、投資についてあまり深く知らないという方にとっては、両者の差異についてあまりピンとこないかもしれません。これを機にもっと詳しく学んでみようかなという方は、まずは投資スクールの無料講座を受講して、投資について少しずつ触れてみてはいかがでしょうか?
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